先日、以下の記事が話題になった。
成績優秀者が医学部をこぞって目指すことのアンチテーゼとして、賞賛の嵐だ。
だが敢えて異議を唱えたい。
以下引用を交えて書いていく。
ほんとうに医学を学びたくて医学科を志すのはとても立派だし、そのために必死に勉強したり何浪もしたり、という姿勢には頭が上がらない。
今、そういう渦中にいる人も多いだろう。
でも、「成績が良い」「進学校・予備校で、周りがみんなとりあえず医学部志望するから」「教員もここの医学部ならいけるって言ってる」「親とか周りの期待がある」「センターの点が高かった」「入試問題がよく解ける」
・・・そういう いわば偏差値的な理由だけで医学科を目指していないか?
それは絶対に間違っている。
偏差値で医学科を選んでる人なんてほとんどいません。なぜなら偏差値で選ぶなら東大に行ってるからです。
実際の志望理由としてはほとんどは親が医者だからor経済面で恵まれているからor人を助けたいから。
他の学部と異なり入った時点で将来が決まるのに、偏差値で選ぶわけないじゃん。当たり前だけど。
医学科は大変だし難しいし、すごいね、偉いねと周りが尊敬しもてはやしてくれるかもしれない。
俗な話をすれば、「医学科だからモテモテ」「医者になればお金持ち」なんてことを考えるかもしれない。
だがまさか医学科の面接で志望理由を聞かれて、こういったことを答える人はいないだろう。
誰もが医学という学問分野、医療という仕事の重要性、それに向けた自身の目標や志などを述べるに違いない。
しかし、その中に本当に、純粋に、心の底から、医学への熱意を持って面接に臨む受験生はどれくらいいるだろう?
口先だけとまでは言わないが、医学科入試の面接には「受かるための回答」を用意していくし、事実「面接官に喜ばれる答え」作戦を立てた受験生が合格しやすいというのも否定できない(専用の参考書だってある)。
受験生も最初はそういうピュアな理由で医学科を志していたかもしれない。
しかし医学部に入るために受験戦争を戦い抜いていくうち、いつしか医学科に入ることそれ自体だけが目標になっていないだろうか。
それって別に医学科に限らないよね。ほとんどの人が就職のために大学に行く中で、医学科だけに学問への興味を強制する理由は?
モテたいから、金持ちになりたいから、それも立派な理由。
就活だって適当な理由つけて、嘘八百の面接してるでしょ。本音と建前を使い分けない人なのかな。
その先に待っているのは、入るのも大変、入ってからも大変、出るのも大変、出てからも大変な世界だ。
そして将来は、就活こそ比較的苦労しないとはいえ(『医学科だから就活が無い』はウソだ。高年次になると研修先の病院を決めるために病院見学に行ってアピールしたり、採用されるために別の試験を受けたりする必要がある)、就く場所によっては最高にブラックだったり、高収入かもしれないが、あまりに忙しすぎてそのお金を使う暇なんて片時も無いようなことだって十分あり得る。
ここらへんは一般常識を全く理解していないといえる。
医学部じゃない人が努力してないとでも?そりゃ私立文系で学校全く行ってませんみたいな人もいるけど、そこと比べるの?
東大生は進振りで競争に晒されてるし、他の多くの大学生も就活でもゴリゴリの戦いをしてる。そもそも理系だったら大学に拘束されるのが当たり前。
一般企業は何次にも渡る面接をくぐり抜けなければならないし(医学部の病院面接は基本的に一回だけ)、最近では電通の圧迫面接が話題になったね。
ちなみに病院の採用試験なんて国家試験+α程度しか出ない。採用試験ない所もあるし。
「就く場所によって」っていうのが肝で、医者は職場を選べるんだよね。売り手市場だから。あと診療科も選べるし。
>医師を目指す君にまず問う。
よく引用されるけど、大袈裟すぎ。
医学生をそんなに勉強マシーンにしたいなら、部活も全部廃止して東医体西医体も廃止ってことになってるよね普通。医療界に一定数いる、ハイパー(激務&意識高い)を他人に押し付けてくるタイプってだけ。
当然だけど、こんな極端な思想の人は極一部。教授でもあんまりいない。
そんな贅沢をどうせするのなら、本当に自分の興味があること、やりたいことを学んだほうが何倍も幸せに違いないとは思わないか?これを読んでいるあなた、本当は小説家やエッセイストになりたかったんじゃないか?ゲームクリエイターになってみたかったのでは? 科学者は?宇宙飛行士は?画家は?ミュージシャンは?
貧すれば鈍する。
そんな夢など現実の経済的貧窮の前では吹き飛ぶ。スポーツ選手は0.03%程度しかプロになれないし、プロと言っても人並みの収入を得れるのはもっと限られている。
そりゃ夢をかなえることができれば素晴らしい。叶えるに越したことはない。だが、夢をかなえることができる一人は千人の挫折の上に存在しているのだ。
経済的に現実的な選択をするのも責められることじゃない。
選択の問題。
それでも医学科に来ることを選ぶなら、医学科の辛苦をあらかじめ覚悟しておいてほしい。医学科に「勉強ができるから」と入るような人なら、その頭脳、能力、ポテンシャルを、他の学部でも十分生かせるかもしれない。
医学科の辛苦ねえ。たかが勉強するだけでしょ。
殴られたり、恫喝されたり、パワハラされるわけじゃない。ただ自分と戦うだけ。まあ、勉強が辛い人にとってはきついだろうけどそもそもそんな人は入学できないし。
飲食店とかの知り合いの話を聞くとひどいよ。
ホワイトカラーってだけで恵まれているってことに気づいてない。(医者はブルーワーカーって説もあるけど)
あとポテンシャルっていうけど、ただ受験勉強ができるってだけだよね。
働いた時に使えるかなんてわからないし、ましてや他の分野で活躍できるなんて言い切れない。
勉強ごときでうだうだいってるのに、パワハラ、モラハラ、セクハラ、いじめに耐えられるのかな。
だがその矛先を医学科に求めても、返ってくるのは大学受験以上の辛く苦しい勉強量だ。大学を本当に最高学府として勉学に励むための場所だと思って志望しているか?高校のような環境から解放されて少しくらい遊びたくはないか?大学こそ人生のモラトリアム?森見登美彦作品のような大学生活?
医学科はその対極にある(これは何も医学科に限った話ではなく、だいたいの学部は別にモラトリアムとは言えないくらい大変な思いをしているから論が偏るかもしれない。大学はどの学部だってつらい思いを抱えている)。
勉強勉強言ってるけどさ、大学受験の時のほうが絶対してたけどな。俺の周辺は。
だいたい大学時代に遊び呆けてるやつは、将来にそのツケを払うんだから選択の問題でしょ。
大学時代に遊んで生涯賃金が減るか、大学時代に勉強して生涯賃金を大幅に増やすか。
前者がしたい人なら確かに医学部辞めたほうがいいかもね。どうせ辞めないけど。
幼いころ、「いっぱい勉強しておきなさい、そしたら自分のやりたいことの道がいっぱい広がるよ」と両親に教わり、純粋にたくさん勉強に励んできた君は、その甲斐あって医学科に行くことができた!
しかしそのときふと先を見ると、好きなように選べたはずの道が、険しい1本しか残っていないのだ。
あんなに勉強してきたはずなのに・・・。
本当に医学を学びたくて医学科を志望しているか?
うーん。
アーティストとかスポーツ系ならそもそも大学入学時に勝負は決まってるし、他の労働者としてやってくなら医者は悪くない選択だと思うけどね。
医者って一括りにされるけど、外科医から内科医、マイナー科まで幅広いし、保健所や医系技官として厚生労働省に勤めたり意外と幅あると思うけどな。
ゴリゴリやれる科も人と関わらない科もあるし。
つまり医学科では、途中でやっぱり医学は向いてない、医学は好きじゃない、他のことをやりたいと思ってももう遅い。
いちど医学科に入った以上、「医学」の道以外を志すのは、良くも悪くも難しい(思い切って転学してしまえば不可能ではないし、学年に1人くらいはいる)。
いや、どこの学部もそうでしょ。東大みたいに進振り制度がないところは大学入学時に専攻する学問が決まるのは当たり前。嫌ならやめればいいだけ。
大体好きなことで生きていこうとしているのがおこがましいというか。99.999%くらいの人は好きなことで生きてないから「好きなことで生きていく」ってキャッチコピーが生まれたわけで。
結論
途中から辛口になったけど、結構本音です。
そんなに医者が嫌なら辞めればいいと思うけど、実際は仮面浪人や再受験までして来る人もいるわけで。
医学部が特殊みたいに言われてるけど、別に大したことないんだよね。
理系学部の友人とかの話を聞くと、よっぽど医学部より研究室に拘束されてたりするし。
医者は世間知らずとか言われるけど、いろんな患者と接するわけで、それでも子供を医学部に行かせようとするってことはなんだかんだいい職業の1つなんでしょう。
ある程度学力がある人にとっては最高の選択の1つと未だに疑いを持ちません。
感謝もされるし、社会的地位も高いし、収入も得られるし。たかだが受験勉強ができるだけなのに。※受験勉強ができる≠学問ができる
色々思うことがあったので書きました。
過去記事もあるのでよかったらどうぞ。