前回のCBTの勉強法に続き、医師国家試験の勉強方法です。
国試の勉強方法は千差万別いろんな人がいろんなやり方をしているので、迷う人が多いと思います。
ここでは最短かつ、最も効率的な勉強方法を教えようと思います。
いろいろなブログや体験談、自分の経験に基づきアレンジしています。
総論
結論から言うと医師国家試験までに必ずやらなければいけないことは以下の2つです。
・直近5ヵ年の過去問を全てできるようにする。
・QB(クエスチョンバンク。以下QB)の1周目問題を全てできるようにする。
とりあえずこれが最低ラインで、これだけやればあとは+αで合格することができます。
決して勉強の目標が「映像授業を全コース見る」であったり「病気がみえるを通読する」ということではないことを肝に銘じてください。
QBの問題を終わらせることが目標です。
過去問が重要なのはCBTや定期試験を乗り越えてきた皆さんなら嫌でもわかっていると思いますが、医師国家試験でも同様です。
国試もプール問題が出る上に、直近の過去問と似たような範囲や分野を狙われることが多いです。
大学受験と異なり、医学は日々進歩して知識がアップデートしていきます。
流行やトレンドもあるので、直近の過去問が一番役に立ちます。
1周目問題というのは直近5回分&それ以前の典型問題のことで、重要度が高い問題のことです。
CBTは全部の問題をやったと思いますが、いろいろなブログや話を聞いた感じだと国試の場合は最初から全ての問題に手を付けると量が膨大になる上に、全範囲終わらないといった悲惨な状態になることが多々あるようです。
そのため、まずは一周目問題を終わらせて科目の概要を掴んだ上で2~3周目以降に重要科目や頻出科目の一周目問題以外も解くというスケジュールを取ったほうが良さそうです。
ちなみに2019年度版のQBだと、総問題数が7665問、1周目問題は3049問です。
CBTのQBが1~5巻合わせて3764問なので大したことないっぽいですが、CBTと違って一問一問が重いので注意が必要です。
映像授業を見た後であったり、病気が見えるやレビューブックを読んでからQBを解くという人が多いですが、はっきり言って時間の無駄です。
いきなり問題を解いたほうが手っ取り早いし知識も身につきます。
初めから教科書を読んだり映像授業を見てもどこが重要で試験に出るかの区別が付きません。
問題を解いて、ある程度科目の概要を掴んでから教科書や映像授業に戻ったほうがいいです。
何もわからない状態で講義を聞くより、実際の問題でどこが問われやすいかを知ってから講義を聞いた方が遥かに定着率がいいです。
医師国家試験は大学受験の数学や物理のように、公式や定理から解答を自分の力で生み出すといった性質の試験ではないです。
要するに知っているか否かが全ての勝負。
知識のインプットが一番重要ということです。
知識のインプットするのには、問題演習から インプットするのが一番効率いいです。
問題集で得た教科書に書いてない知識は、適当に教科書に書いておきましょう。
CBTではこれを実践している人が多く、QBだけやる人が多かったのに医師国家試験になると急に映像授業や教科書から勉強する人が増えます。
きちんと効率のいい勉強法を見極めましょう。
国試の独特の文章や表現に慣れるためには、国試を解く以外には無理です。
具体的には「オレンジジュースを飲むのを嫌がる」という表現は、口内の疾患(口内炎や潰瘍)を想起しなければならないのですが、こういった国試の独特の表現は過去問を演習することでしか身につきません。
「知識がないのに問題を解いても実力になってるかわからないじゃないか!」という声もあると思います。
実力試しは何回も行われるMEC模試やTECOM模試で行えばいいのであって、普段から実力試しをする必要はないです。
良質な過去問で実力をつけることに集中しましょう。
勉強スケジュール
医師国家試験、というか受験全般に言えることですか
・先行者有利
・受験はマラソン
ということが言えます。
CBTが終わったらすぐに国試の勉強を開始していいくらいです。
「国試とか6年からで余裕だよ」とかいう意見は無視しましょう。合格ラインボーダーになって、直前に一日10時間勉強するハメになるだけです。
大学での成績が良かったので国試を舐めてる人もいますが、大学の成績と国試は関係ないです。
むしろセンター試験やCBTの成績のほうが相関性があると思います。
東京と大阪には鉄緑会という東大受験専門塾があるのですが、その塾では中1で中3までの範囲を終わらせ、中3までに高校範囲を終わらせます。
そして高3ではひたすら東大の過去問演習を行い合格するという戦法です。
受験はやる量が決まっているので、先に手を出したもの勝ちということです。
by medu4のDr.穂澄
私が学生時代に教鞭をとっていた鉄緑会では中学2年で中学の内容が終わります。そして中3から高校の内容をはじめ、高1で東大の過去問を解きます。
— 穂澄 (@medu423) June 25, 2018
そして今や理III合格者の3人に2人が鉄緑会出身者です。
つまり、本当に効率良い人は高1で赤本解いて、余った時間で遊んだりしています。話の次元が違う。 https://t.co/OdCFXTYgvs
学年の1~2%しか落ちない上に再試もあるCBTとは異なり、医師国家試験は10%は落ちるし再試もありません。
落ちる可能性がある試験だと思って早い時期から対策するのが重要です。
早い時期から対策しておくと、
・筆記試験を課されるマッチングに対応できる
・卒業旅行にのんびりいける
・精神的に追い込まれない
といったようなメリットもあります。
模試の点数マウンティングを取ってくる人に精神をすり減らされることもなくなります。
早めに対策しましょう。
メリットについて解説します。
医学部の場合は夏休みにマッチング(就活)の試験が行われ、その際に筆記試験を課される病院も多いです。その時に基礎が完成していないと、門前払いということになります。
また、勉強に余裕があると選択実習終了後、国試後も長期間の旅行に行くこともできるようになります。
医学生なら2023年問題について聞いたことない人はいないと思います。
具体的な説明は省きますが、端的にいうと現在の日本の医学部の実習時間だとアメリカで医師免許を取得できないということです。
そのため各大学でこれらに適応するためにポリクリの期間が延長しています。
具体的には一科を2週間回っていたところが、4週間かけて回るようになるところが増えているようです。
学生側からしたらたまったもんじゃないですが、勉強時間が増えたと思ってポジティブにいきましょう。
勉強スケジュールとしてはCBTと同じで、ポリクリを回っている期間に同分野のQBをやればいいということです。
何はともあれ優先するのはQBの一周目問題です。
科目によって問題数にばらつきがあるので一概には言えませんが、4週間で
・一周目問題を二周
・一周目問題以外を一周
が目安になると思います。
映像授業や病気がみえるは、QBの一周目問題が終わった後にやってください。
まだポリクリが2週間の大学の方は一周目問題を一周を目標にしましょう。
先述の通り、QBの1周目問題は3049問あるので、一日20問こなすだけでも一周するのに5ヶ月はかかります。
1周目問題を2周するだけで10ヶ月とほぼ1年かかる計算なので5年の早い時期からのこなしたほうがいいです。
6年までに最初に挙げた2つの目標ができればまず合格します。
最悪でも6年の夏前までには終わらせておきましょう。
スキマ時間にQBオンラインを進め、白衣にはレビューブックを入れておきましょう。
iPadはパラパラとめくることができないので、ポリクリ中の教科書としては不適合です。
映像授業は本当に必要なのか?
さて、自分は以前から疑問に思っていたことが一つありました。
映像授業は本当に必要なのか?
という点です。
というのも、大学受験から医学部での定期試験まで講義が役に立った経験が殆どなかったからです。
CBTにおいても映像授業は全く必要なく、QB(クエスチョンバンク、以下QB)だけで十分に合格点が取れました。
すなわち、映像授業はみんながやっているという安心を得るためだけに空気感でやっているだけでそれほど必要がないのではないかということです。
予備校の東大コースに通っても、東大に合格する人はわずかです。
つまり、受動的な学習では学習効率が低く、結局は自分で問題を解く必要があり、それなら最初から問題演習をしたほうが効率がいいのです。
↑有名なラーニングピラミッドの図
講義を聞いても学習効果は低い。(問題演習は自ら体験するの欄)
また、各種映像授業(MEC、TECOM、medu4、Q-assist)で共通するデメリットがあります。
それはノートを取ることを強制されることです。
初めから完成したノートを配布すればノートを取る手間が省けるのに、どの予備校もノートを取ることを要求してきます。
結局できたノートは自分の汚い字で書かれたあまり役に立たないものなので、それならば最初から教科書や問題集を主軸にしたほうがいいです。
また医師国家試験は全て記号の択一式なので、定期試験と違って漢字や文章を書く必要が全くありません。
それなのにノートを取らせるという非効率な方法を求められる予備校をあえて使う必要はないです。(唯一Q-assistだけが完成版のPDFを使えるが、それでも若干の書き込みを要求される。)
CBTの勉強法でも述べましたが、iPad Pro×医師国家試験のように最近ではデジタルの勉強法がやたらと持ち上げられています。
デジタルがアナログに勝るのはかさばらない点と検索できる点だけです。それ以外は全部紙に劣っているので注意しましょう。
当然勉強も紙ベースでしたほうがいいです。
では、映像授業には本当にやる価値がないのか?
映像授業には他の学習形態にはできない特徴があります。
それは、問題演習と同時並行でできるということです。
自分が国試の勉強をしている時は以下のような画面でやっています。
左側でQBを解き、右側に映像授業を表示させています。
右側の映像授業は最前面に固定してあるので、常に表示されます。
最前面に固定するソフトは↓です。
ラジオ感覚で流しているだけでも違ってきます。
自分は勉強の気分が乗らない時はYoutubeを流しています(笑)。
総論で述べたとおり、受験はマラソンに近いのでダラダラYoutubeを見ながらでもいいから時間を掛けることが重要です。
自分のおすすめはQ-assistです。
無料ということもありますが、少なくとも自分はMECやmedu4よりもわかりやすいと感じました。
MECやmedu4は1からという感じがしますが、Q-assistは文字通り0からいけます。
Dr.清澤のギャグも面白くおすすめです。
ノート作り
ブログで何度も言ってるように、ノート作りは一切いらないです。
非効率の極みで、完全な自己満足に過ぎません。自分が映像授業を挫折したのもノート作りのためです。
が、自分の間違えた知識をまとめたノートが労力なしで作れたら、勉強効果があがるのは確か。(ノートはあくまで、費用対効果の費用が高すぎるのでコスパが悪い)
そこでおすすめしたいのがQBのノート機能。
パソコンでQBを解くと、マウスで一瞬でコピペができるので自分が知らなかった知識や大事だと思った知識をノートに貼っておきましょう。
画像も保存できるので、わからなかった問題は保存しておくといいでしょう。
iPhoneやiPadだと、コピペがめんどくさいし非効率なのでできればパソコンで解きましょう。
↑の人のやり方のように、問題丸ごとGoogleドキュメントに保存するのもありです。
結局QBのノート機能でも、スクショでも、Googleドキュメントに保存でもいいので、時間をかけずに間違った知識を抽出しましょう。
※手書きノート、ダメ絶対
すると、QBを一周終える頃には自分にとっての重要知識が載っている自家製ノートが出来上がってます。↓
あとはこれを印刷やPDF化してインプットするだけ。
繰り返しますが、これを紙等で書いて作ろうとすると勉強時間が数十倍になる上に、効果も対してないのでノート作りはコピペで終わらせましょう。
基本的にQBに載っていない知識は出ないし、出たとしても誰も解けません。
QBを教科書代わりに使うことが一番効率がいいです。
Ankiというアプリが流行ってたりしますが、いりません。
カードを作る手間を考えたら費用対効果は悪いです。付箋を貼ってそのページを見たほうがいいです。
まとめ
CBT後に医師国家試験の勉強を開始
↓
ポリクリと並行してその科目のQBの1周目問題を解く。1周目問題を終えたら2周目に入りつつ、余裕があったら1周目問題以外も解く。
↓
全科目のQB1周目問題を終えたら、直近5ヵ年の過去問を解く。
↓
出題される比率が高い科目(公衆衛生、循環器など)の1周目問題以外を解く。
↓
重要分野、苦手な分野の病気がみえるやレビューブック、映像授業を視聴して抜けがないか確認しつつ、QBの正答率を90%以上にすることを目指す。
↓
模試を受験し、正答率40%以上かつ自分が間違えた問題を復習。
同時に、正答率が低い分野を洗い出し復習。
こんな感じがベストな勉強計画だと思います。